ビジネスマン

名古屋菓子處 不朽園

不朽園店舗

ぜひとも“詰めたて”のサクサク最中を
召し上がっていただきたい!その一心で。

名古屋で最中といえば不朽園。和菓子を知る人の多くがこう話す。そして不朽園の手提げ袋や包装紙には、「最中づくり一筋」とプリントされている。この言葉からも、最中にかける並々ならぬ熱い思いを感じとることができ、はじめて食べる人は、一体どんな最中なんだろう?と期待がふくらむに違いない。

不朽園の創業は、昭和2年(1927年)。創業者は、近所でも有名だった“肝っ玉かあさん”の杉村きみさんである。現在のご主人が4代目。きみさんは、3代目のおばさまにあたる人だった。情に厚く、面倒見がよく、職人をまとめていく姿はたくましく、商売人そのものだったという。3代目主人はこう話す。「喜怒哀楽が激しくて、人とぶつかることも多かったけど、命をかけて商売をしていました。お客様に喜んでもらうことを第一に、職人を叱咤激励して美味しいものを作るんだ!という気合いがすごかった。不朽園の代名詞である最中は、きみおばあちゃんが職人と一緒になって開発した名物なんです。」

創業当時は和菓子屋さんというよりは食料品店のような業態で、昔の写真を見ると、看板に「おしるこ」と書かれているのだそう。どうやら毎日あんは炊いていたようである。アイデアマンのきみおばあちゃんの「日持ちするお菓子を作ろう!手土産需要があるはず」という号令のもとで、日持ちのする最中に焦点が当てられ、最中が開発されていったのだとか。

さらにようかんや饅頭なども作るようになり、尾頭橋の町の発展とともにお店は繁盛していく。きみおばあちゃんのフロンティアスピリットは、今の不朽園にもしっかり受け継がれ、最中を軸に、毎日あんを炊き、丁寧にお菓子をつくり、詰めたてを楽しめる最中を手土産需要に開発したり、洋菓子と最中のコラボレーションに挑戦したり。そんな「最中づくり一筋」の不朽園は、いつもお客様で混み合っている。

観光客

季節のお菓子

  • 餅入り最中
  • 水ようかん最中
  • 栗最中
  • 干支最中
  • 餅入り最中

    2月から5月の頭くらいまでの期間限定の商品で、粒あんの中に求肥餅がくるまれ、最中で挟んだ商品。

    やわらかい求肥餅が食感のアクセントとなり、サクサクの最中皮とのコントラストが特徴で、毎年この餅入り最中が好きで楽しみにしていお客様がいらっしゃるという。

  • 水ようかん最中

    食べる直前に最中に手詰めしてもらうタイプの商品。水ようかんを冷蔵庫で冷やしておき、ヘラで最中の皮に詰めて、そのまま食べていただくスタイル。

    粒あんとこしあんの両方があり、冷たい水ようかんの喉越しの良いつるんとした食感と、サクサクした最中皮のベストマッチは、夏だけの宝物である。

  • 栗最中

    こちらは栗が市場に出回る9月ごろから11月あたりまでの秋限定商品。栗が一個まるごと入っており、粒あんに包まれている。

    なにより、最中の皮が栗の形をしているので、なんとも愛らしい。秋の季節のお手土産菓子にはぴったりのたたずまいである。

  • 干支最中

    その年の干支動物をかたどった最中皮で、年末年始のみの限定販売。毎年人気商品のため、売切御免となっている。

    粒あんを手詰めして召し上がっていただくスタイル。年末年始の帰省やお正月のご挨拶などによく使われているのだとか。


名古屋菓子處 不朽園

住所:名古屋市中川区尾頭橋3-3-8
TEL:052-321-4671
営業時間:7:00〜19:00
定休日:元日、水曜日(祝日を除く)
URL:http://www.fukyuen.co.jp
SNS:


周辺情報

周辺情報

闇之森八幡社くらがりのもりはちまんしゃで歴史の面影を辿る

「闇之森八幡社」は、これで「くらがりのもりはちまんしゃ」と読む。不朽園から北東に歩いて10分ほどの所にある神社で、昔は大木がこんもりと茂っていたため、月の光がささないと歌に詠まれたことから、闇という漢字を、くらがりと読ませたと言われている。大正時代には、熱田神宮や圓頓寺、笠寺観音などと並ぶ名古屋十名所に数えられていた。

創建は長寛年間と古く、源為朝が石清水八幡宮を勧請したと伝わっている。尾張藩主・徳川宗春の時代に起こった遊女と畳職人の心中未遂事件は、この闇之森八幡社での出来事だった。その後、その心中未遂事件が浄瑠璃「睦月連理𢢫むつましづきれんりのたまつばき」となって上演され、名古屋中で大人気となったことは、名古屋の伝統芸能の世界では有名なエピソードである。

不朽園の先代である3代目は、「尾頭橋はその昔は路面電車が走っており、交通の要所でもあった。商店がずらりと並んで人で賑わっていました。闇之森八幡社は尾頭橋からも歩ける距離で、この辺の子どもの遊び場でもありました。秋になると神社の中にあるイチョウの木にたくさん銀杏が成るので、それをいただいてきた思い出があります。今でも散歩コースに入っていますので、時々出掛けています」と話してくれた。

くらがりというネーミングがどこからつけられたのか、かつての森の姿を想像しながら散策するのも楽しそうである。

ファミリー

pageup
MENU