大正はいからさん

山田餅あらたま

山田餅あらたま店舗

まるでおはぎの実験工房、
ぜひとも全制覇をめざしたい。

地下鉄「新瑞橋」駅を上がったところの交差点の角に、山田餅あらたまはある。新瑞橋は名古屋南部のターミナル駅ということもあり、人の往来がとても多い場所である。取材に伺った日は、学校帰りの高校生がお菓子を買いに来ており、どのおはぎを買おうかと悩みながらショーウインドウを見ている姿がとても印象的だった。

山田餅あらたまは、名前の通り餅菓子屋さんで、おはぎや団子などの餅を使ったお菓子のラインアップがとても多い。その日に並んでいたおはぎは、6種類もあった。おなかが空いた高校生がどれにしようかと迷う気持ちは手に取るようにわかる。あん、きなこ、黒ごま、白ごま、しそ、そしてなんと、のりたま!

のりたまのおはぎを思いついたのはなぜかとご主人に聞いてみた。「和菓子が好きな人は、おはぎを朝ごはんにしても違和感がないと聞いて、それならのりたまのおはぎがあったら面白いかな?と思って作ってみたんです。そうしたら美味しくて!」

筆者も買って食べてみたが、確かに不思議な美味しさである。おにぎりとは違うし、甘いおはぎとも印象が違うのだ。のりたまと餅米の自然な甘みが面白い味の調和となっていた。

この他に、チーズやレモンのおはぎ、季節ごとに登場するオリジナルおはぎもある。そう、甘いだけがおはぎじゃないのである。おはぎの可能性は、これからもどんどん広がっていくに違いない。

武士

季節のお菓子

  • 草餅
  • 水まんじゅう
  • おはぎ
  • 切餅
  • 草餅

    草餅は、山田餅あらたまの代名詞のような存在。岐阜県揖斐市で減農薬栽培されている香りの高いよもぎを使っている。標高の高い場所で栽培されているため虫がほとんどいないが、寒暖差も激しく、その厳しい環境下で育てられるので、香りが強くなるのだとか。

    芳しいよもぎの餅に包まれているのは粒あん。すこし黒糖が加えられているので深みのある味わいに。また編笠の形に整形される草餅も、このお店の特徴である。

  • 水まんじゅう

    ガラスのお皿に水を張って、そこに浮かべてお出しすると、お客様からは歓声があがる。この涼感の演出が水まんじゅうの美味しさを目で味わう第一歩。

    山田餅あらたまでは、こしあんの入ったプレーン、抹茶と粒あん、レモン味の白あん、いちごみるくの白あんなど、水まんじゅうだけでも何種類も出ている。なんともカラフルでかわいらしい。わらび粉とくず粉のブレンドが味の秘訣でもある。

  • おはぎ

    餅菓子屋さんの秋は忙しい。山田餅あらたまでは、おはぎは年間を通して販売しているが、それでもやはり9月のお彼岸のころは、毎日行列ができるほどにぎわうのだそうだ。

    ここのおはぎは、まん丸の形が特徴。コロンとした佇まいがかわいい。そしてなによりも種類が多いことに驚かされる。全制覇したいと思ったら、きっと根っからの和菓子好きなのだと自覚してよいだろう。

  • 切餅

    山田餅あらたまでは、年末になると、あらゆる種類の切餅が店頭にずらりと並ぶ。ノーマルの白い餅をはじめ、豆、きび、黒糖、よもぎ、海苔、コワ、タカキビなど。

    「珍しい種類の切餅を置いておくと、こんな餅もあるんだねと言いながら買ってくれる。忘れられつつある日本の餅文化を残していきたいから作り続けたいですね」とご主人。

    一年中、切餅は店頭にあるが、年末に種類が圧倒的に増えるのは、やはりお餅を年末やお正月に食べる家が多いということだろう。


山田餅あらたま

住所:名古屋市瑞穂区瑞穂通8-22-2
TEL:052-841-9643
営業:9:00~18:00
定休日:火曜日
URL:https://mochiya-aratama.com/
SNS:


周辺情報

中村公園

スポーツだけでなく、
自然と戯れることのできる憩いの場。

山田餅あらたまから歩いて5分ほどのところに、瑞穂公園はある。地元では「瑞穂グランド」と呼ばれているスポーツ施設と公園が一体化した一大空間である。陸上競技場や野球場、ラグビー場にテニスコート、プールなどの競技施設が整っているので、野球やサッカーの応援に訪れたことがある人も多いだろう。スポーツ系の部活をやっていた人にとっては懐かしい場所であるかもしれない。

スポーツ観戦を楽しんだ人が、帰り道にその日の試合の話をしながら山田餅あらたまに寄ることがあるらしい。そんな日はスポーツの躍動感に街全体が包まれるのだろう。地元にこうした公園があるというのは、なんともうらやましい環境である。

山田餅あらたまのご主人は、“あらたま”で生まれ育ったということもあり、この瑞穂グランドは子どもの頃からの遊び場でもあった。どこにどんな林があって、散歩コースに適した道がどこにあるか、よく知っているという。「緑が多いので、散歩にはぴったり。四季を通じて楽しめますよ」とご主人。

地下鉄で新瑞橋についたら、山田餅あらたまに寄って和菓子を買って、瑞穂グランドまで歩き、木陰で和菓子ピクニックなどどうだろうか。あるいは、お休みの朝に9時の開店に合わせて行き、出来立てほやほやのおはぎを求め、瑞穂グランドでおはぎモーニングとか…。和菓子好きの妄想は尽きない。

明治カフェ

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