番頭さん

花桔梗

花桔梗店舗

尾張徳川家の御用菓子屋の流れをくむ、
和菓子モダニズムとは。

白いスクエアな外観に目を惹かれ、中に入ると漆喰の壁とガラスが融合した空間が広がる。天井からは麻布が幾重も吊るされており、そのデザイン性はこのお店の和菓子の意匠にも通じるモダニズムである。平成17年(2005年)の創業とお店としての歴史は比較的新しいが、そのルーツを辿れば江戸時代の尾張徳川家に行き着くのだそうだ。尾張徳川家の御用菓子屋だった桔梗屋が大政奉還後に3つの和菓子屋に分かれ、そのうちの1家に生まれ育ったのが花桔梗のオーナーである。

平成17年(2005年)当時のコンセプトは、10年後の和菓子屋を創るという思いから「伝統と革新」。自身のDNAに刷り込まれた名古屋の和菓子屋としての矜恃を保ちつつ、時代を先取りした感性で現代の暮らしになじむ和菓子を提供していく。店舗デザインの方向性はまさにその考え方を現していると言えるだろう。

今から10年後の和菓子はどうなっていると思うか?と尋ねると「原点回帰で、より伝統を重んじて四季を大切にしているのではないでしょうか。和菓子はその暮らしの一部になっているはず」と店主は語ってくれた。

その言葉を具現化しているなと思われるのが、花桔梗の和菓子たち。上生菓子や日持ちのする干菓子のラインアップに加え、かつて行列ができる和菓子店として知名度を一気に高めるきっかけとなったフルーツ大福は看板商品。その他、洋菓子素材と和菓子の奥深さを調和させた新しいスイーツなども積極的に発表している。

伝統をベースに意識しながら、現代の感性に合う和菓子をプレゼンテーションする姿は、まさに和菓子モダニズムの境地である。

お百姓さん

季節のお菓子

  • 桜餅
  • シャンパン寒氷
  • 花桔梗ヴェリーヌ 秋 和栗モンブランと寒天コーヒーゼリー
  • 咲き分けきんとん
  • 「桜餅」

    山崎川にもっとも近い和菓子屋である花桔梗では、桜餅は春を代表する生菓子として知られている。八割(やつわれ)と呼ばれる細かな道明寺粉を用いるため、食感がとてもやわらかい。中はしっとりとした上品なこしあん。

    特徴は葉っぱが2枚使われていることで、1枚は懐紙の代わり、もう一枚はお菓子と一緒に食べて、ほのかな塩味と香りを共に楽しむ。

  • シャンパン寒氷

    寒氷(かんごおり)とは、寒天と砂糖を練り固めて型抜きした干菓子のこと。外側がシャリシャリ、内側はとろんとした食感が特徴である。

    シャンパンをたっぷりと入れて練り込んだのが、このシャンパン寒氷。シャンパンが好きな方へお手土産にしたらさぞ喜ばれるはず!通年商品ではあるが、すりガラスのように涼やかなたたずまいなので、ぜひ夏におすすめしたい。

  • 花桔梗ヴェリーヌ 秋
    和栗モンブランと寒天コーヒーゼリー

    和菓子職人が和の感性と技術で生み出したカップスイーツが、季節ごとに新しく発表される花桔梗ヴェリーヌシリーズ。旬のフルーツに、和と洋の素材が複雑に重なって、新しい感覚のスイーツとして仕上がっている。

    洋の素材が入りつつ、和菓子の奥深さが控えめに表情を見せる。こちらは栗・シャインマスカット・コーヒーゼリー・マスカルポーネ・白あんなどが層になっている秋バージョン。

  • 咲き分けきんとん

    新年にふさわしいおめでたい紅白のきんとん製のお菓子。白備中小豆に伊勢芋を合わせ、紅白に染め上げたきんとんを、丁寧に裏ごししてそぼろ状にし、こしあんの周りに左右対象になるように重ねていく。

    和菓子屋の技術がそのまま現れるだけに、職人の気合を十分に感じられるお菓子である。

    迎春のお菓子として、年末のわずか3日間だけの限定商品なので、予約をおすすめする。


菓匠 花桔梗はなききょう

住所:名古屋市瑞穂区汐路町1-20
TEL:052-841-1150
営業:10:00~19:00
定休日:1/1
URL:http://hanakikyo.com/
SNS:
※喫茶室の利用を制限している場合もございます。
最新の状況は、店舗に直接お問い合わせください。


周辺情報

山崎川

名古屋の桜の名所・山崎川を眺めながらゆったり散策。

名古屋の桜の名所は?と聞かれて、おそらく多くの人が山崎川と答えるのではないだろうか。閑静な住宅街を南北に流れる山崎川は、春夏秋冬でさまざまな表情を見せてくれる。

もっとも華やぐのは、春先のわずか1週間ほど。咲き始めから満開になるまでもいいが、筆者は個人的に、散り際で川面に花びらが舞ってゆく様がとても美しい風景だなと感じている。山崎川は、周囲が住宅街ということもあって、目ざわりになる照明がなく、散りゆく花びら一枚一枚がまるで意思をもった生き物のように見えるからだろうか。

花が散って若葉が繁るころも美しい。太陽の光にかざすと、若葉の生命力あふれる姿が見てとれる。山崎川はゆるやかに曲がりながら流れているからか、桜並木に沿って歩いていると、あっという間に地下鉄1区分くらいは歩いてしまっている。

近くには大正から昭和初期に建てられた東山荘もあり、回遊式林泉庭園は開放されているのでぜひ立ち寄ってみてほしい。綿布問屋だった伊東信一の別荘として建てられたもので、茶の湯の好みを生かして作った邸宅である。珍しい建築意匠もあり、見どころはたっぷり。山崎川〜東山荘〜花桔梗の道筋は、名古屋の和もの好きにとっては黄金のルートでもある。

ツーリング

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